休業手当と休業補償の違い

「休業手当(労働基準法26条)と休業補償(労働基準法76条)
課税関係の違い」

〇 休業手当(労働基準法26条):給与所得
→ 雇用調整助成金の対象

〇 休業補償(労働基準法76条):非課税
となります。

だから、会社が「休業手当」を支払う場合、
源泉徴収が必要になるのです。

これに関する問い合わせが
国税当局にも数多く寄せられているとのことです。

税務の取扱いは以上となりますが、
休業手当と休業補償について
もう少し詳しくみていきましょう。

〇 労働基準法26条(休業手当)
【使用者の責に帰すべき事由】による休業の場合においては、
使用者は、休業期間中当該労働者に、
その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

〇 労働基準法76条(休業補償)1項
労働者が前条※の規定による療養のため、
労働することができないために賃金を受けない場合においては、
使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を
行わなければならない。

※ 労働基準法75条(療養補償)1項
労働者が「業務上」負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、
使用者は、その費用で必要な療養を行い、
又は必要な療養の費用を負担しなければならない。

だから、「会社の責に帰すべき事由による休業」ならば、
休業手当を支払わなければならないのです。

では、今回の緊急事態宣言に基づく自粛要請による休業が
「会社に責任がある休業なのか?」
という論点がある訳です。

今回の緊急事態宣言に基づく自粛要請による休業により、
会社は休業手当を支払わなければならないのか?

ということです。

これに関しては、
厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」で、
次のとおり、記載されています。

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新型インフルエンザ等対策特別措置法による対応が取られる中で、
協力依頼や要請などを受けて営業を自粛し、
労働者を休業させる場合であっても、
一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務が
なくなるものではありません。
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続けて、こうも書いてあります。

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労働基準法第26条では、
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、
使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を
支払わなければならないとされています。

不可抗力による休業の場合は、
使用者に休業手当の支払義務はありませんが、
不可抗力による休業と言えるためには、

(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること
(2)事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること

という要素をいずれも満たす必要があります。

(1)に該当するものとしては、
例えば、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中で、
営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合のように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられます。

(2)に該当するには、
使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があります。
具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、例えば、
・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、

これを十分に検討しているか
・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか

といった事情から判断されます。
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(参考)
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

労務に関しては、これ以上の深堀りはしませんが、取り急ぎ、「休業手当は給与所得」、「休業補償は非課税」という税務上の論点を覚えて置くと良いと思います。
今はコロナの関係から税務調査も開店休業状態ですが、
秋以降は普通に行われることも予想されます。

税務調査があれば、源泉所得税の対象になるか否かは必ずチェックされる項目だとおもわれますのでチェックしておきましょう

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